実在の人物クリス・ガードナー氏の成功物語を映画化した「幸せのちから」を観る。主演がウィル・スミスで彼の実の子も出演している。
まず、この親子が実にいい。こう静かな信頼感というか同じ空間を共有しているというか、そんな雰囲気が感じられ、さすが実の親子だと思わせる演技でした。思わず自分の息子たちがその年ごろのときのことを思い出してしまった。
映画は、不運が重なってホームレスになりながらも、あきらめずに努力して、証券会社の正社員になるまでを描いたサクセスストーリーで、最初から成功するのは分かっているから、そこで感動するわけではなく、そこへ至る過程にわれわれは感動する。
しかし、この物語の過程はそんな大げさなものではなく、なんだ期待していたよりもドラマチックではないなと言うひともいると思う。でもぼくが身につまされる思いで観た。こういう映画は、結局自分自身の実生活と照らし合わせながら観るから、自分の経験や思いみたいなものと共感できるかどうかでその映画の評価となる。
例えば、商品が全然売れない不安だとか、自分を全く知らないところから売り込む苦しさだとか、どんなに苦しくても自分のめざすところを忘れないだとかは、最初から安定した職場が確保されている大企業のサラリーマンには分からないと思う。そんな人が見ると、どうして周りの人に助けてもらわないのかとか、どんな職でもいいから見つけばいいじゃないかとか言うと思う。ぼくは、会社をやめてほとんどコネがないところで仕事をするようになったので、この映画の言っていることがすごくよく分かる。
さらに、大げさではないが、それゆえに感動するのは、採用が決まって(アメリカ人ってこういうとき、“あなたを採用するのがきまりました”なんていわないですね。“あしたもきれいなシャツを着て来い”って言うんですね)、そのとき大きな声でThank You!て言うのかと思ったら、無言で涙を流すんです。(ネタばれですいません)要するに、観終わったあとジワっと良さが出てくる映画だと思う。清々しい作品です。
