さて前回、ITに任すところはITに、そうでないところは人間にということを言いましたが、ITに任せられないところはどこでしょうか。あるいは逆にITに任すものは何なのかです。コンピュータはあくまで論理演算の世界だから、セオリーがあるプロセスや機能はITに預けていけます。
ですから、非セオリー的なものがITではできないことになります。それは、人間が絡むところです。これは恣意的だし、人によってはやることや判断が変わってきます。すごくあいまいなところです。しかしながら、こうした人間的なプロセスは非常に多くの場面に登場してきます。ひとりの人間の仕事だけでなく、複数の人間が絡み合ったものまで無数の形態があります。
そして、これまではこの人間系の非定型的な業務処理はシステム範囲外に置かれていました。ここでITあるいはIT化といった場合、何を意味するかを少し考えてみます。
そこには二つの段階があるように思います。業務の処理そのものをITに任すことと人間が業務処理あるいは意思決定をするための支援情報や場の提供をITが行なうというものがあるように思います。
これまではどちらかというと前者の業務処理をITにやってもらうという意識が強かったように思います。後者の場合もないことはないのですが、どうも個人的な情報処理に対して存在していたように感じます。
例えば、メールやグループウエアというようなものがそれにあたると思いますが、あくまで個人の生産性であったわけで、基幹業務に近いところではなかなか利用されてはいませんでした。
ですから、基幹業務のところのIT化は、人間が業務処理あるいは意思決定をするための支援情報や場の提供という面では、あまりやられていませんでした。
しかし、トータルの生産性という意味ではコンピュータの処理時間は微々たるもので、そのコンピュータにデータを登録するための時間と出て生きた結果を解析するための時間が生産性を決めています。そこのコンピュータ(情報システム)の前後の業務のIT化が非常に重要になってくるわけです。
ところが、この領域はあいまいで不定形だからIT化が困難だったのです。そこでよーく考えてみると、この世界は決まった順序で情報が流れるとか、決まったルールどおりに動くとかではなく、情報があっち行ったりこっち行ったりしますし、決まったと思ったらまた戻るとか、根回しがいるとか、そんなプロセスですから、いわゆる逐次的なプロセスということではなく情報交換の広場、情報共有空間と呼んだ方がいいかもしれませんが、そうした広場なり空間をITで作ってやることが求められているのです。
こうした仕事の進め方は昔も今も基本は変わらないのであって、昔は電話やFAX、または机に集まっておしゃべり、黒板に絵や字を書いて議論して、そうしてものごとを決めていたのである。それが今やITを使って様々なことができるようになったのです。
例えば、SNS、ブログ、Wikiなどなどがそうです。そうなんです、昔のワイワイガヤガヤの世界を基幹業務システムの中にも組み入れることを提案しているのです。これらは既にWeb系の開発などでは当然のように採用された仕掛けなのであって、珍しいわけでははないので、いまの若い人たちのリテラシーでは軽く使いこなすことができると思うのです。
