今日は、息子と一緒に起業してからちょうど2回目になる創業記念日である。もう2年も経ったのか、早いなあというのが正直なところである。
起業したときは、そんなに突き詰めて計画を練ったわけでもなく、はずみみたいなもので、まともな事業計画もないわけで行きあたりばったりの船出であった。よく言えば、走りながら柔軟に対応していこうよという感じである。
IT起業というのは、ここらへんがいいところで、大きな設備投資もいらないし、いざとなればネットで開発の仕事をとればいいやのノリでやれるところで、技術さえ持っていれば何とかなるのだ。しかし、難しいのはそれに溺れてしまい、そこそこで留まってしまうことだ。
ぼくらも当初はホームページ制作なんかの仕事を取りに行ったりして、近場でそういう仕事をたくさん取ってきて、それをベースに自分の好きなことを少しずつやろうやなんて考えてみたが、そんな簡単ものではなく、細かい面倒くさいことをやってもそんなに稼げないことが身にしみてわかった。
じゃあどうしたらいいのだ。まずは目先の収入を追うのはやめよう、それよりもいい仕事が向こうから来るようなことを考えよう、そのためにはぼくらのやりたいこと、できることを世に知らしめることが先決ではないだろうかという結論に至ったのだ。
焦るな、自分たちの存在感を認知してもらってからでも遅くはない。そういう基礎の上でビジネスをすることが軸がぶれない安定した経営につながると考えた。
このあたりは、先日のESPer2008という未踏ソフトウェア創造事業/未踏IT人材発掘・育成事業の元開発者・現開発者による集会で、うちの社長が「社長のウェブプレゼンスドリブン経営」というタイトルで発表していて、それをブログで書いているので参考にしてください。
そして、最初の1年は社長もぼくも名前を売ることに注力した。社長は、Perlのコミュニティを中心にそうした場で発表したり、CDTubeのようなマッシュアップサービスを送り出したりした。ぼくは、自分で開発したBPMの方法論を持ってその認知に奔走した。
2年目あたりから、そうした活動が少しずつ実を結ぶようになり、開発の仕事が入ってきたり、コンサルタントとして契約できたりした。一度こうして動き出すと向こうから仕事がやってくるという良循環をもたらす。
そうなってもまだ、めざすところには到底行き着いてないわけで、これからどう対処していくのかを大いに議論して行かなくてはいけない。
課題をいくつかあげてみると、ビジネスモデルそのものをどう確立していくかという創業以来の根源的な問題がある。すなわち、プロダクト開発なのか、受託開発なのか、サービス提供なのかといったことで、それぞれに難しさを持っている。さらに大事なのは持続性のあるビジネスでなければいけないという問題である。
中でも受託開発というと「泥のように働く世界」かよという意見もあるだろうが、ぼくはある意味このビジネスは必要な通過点であるような気がする。それは何よりもユーザニーズを肌で感じることの大切さを言っている。
ただ、これもユーザの言うことをただ聞けばいいと言っているわけではない。ぼくは受託開発にも“攻めの受託開発”と“守りの受託開発”があると思っている。
皆さんお分かりだと思いますが、言われたとおりに開発するのが“守り”です。それに対して“攻め”は、こちらからも提案や企画もするし、言われたこと以上のことができることを言っています。“攻めの受託開発”は魅力的なビジネスです。
そのためには、自分たちが保有する技術、ソリューション、サービスをお客さんにきちんと理解してもらい、それを使う価値を共有することが重要である。それができれば、目先の売上を得るためにやりたくない仕事、自分たちが得意でない仕事を取ってくることは必要なくなると思う。
そうは言ってもと言われるのは分かります。そうした声が出てくるのは既存のSIerやソフトハウスからだと思います。なぜかというと既に人を抱えてしまっているから、どうしても守りに入らざるを得ないのでしょう。
でも敢えて言いますが、それだとジリ貧になるのは目に見えています。どこかで“守り”から“攻め”への転換をしていかなくてはいけないと思います。
その点、起業から入る場合は、ひとの問題はないので、資金面だけ我慢できたら“攻め”から出発できるという有利さがある。
ビジネスモデルの確立という課題は、“攻めの受託開発”もやりながらどうするか模索していくことになるが、もう一つの問題はリソースの確保の問題である。
今は二人でやっているが、いくらいいビジネスモデルを作ったとしても、ビジネスを拡大するという前提に立てば、リソースが不足する。その対応をどうするかが大きな課題である。自分たちの技術や方針に共感してくれて、一緒にやってくれる人を捜すのはやさしいことではない。
しかも、二つのタイプの対応が必要になる。ひとつは量への対応であり、もうひとつは質とかレベルへの対応である。すなわち、同じようなスキルを持って量をこなせる人と自分たちの持っていない領域のスキルを持ったひとの確保ということである。
いずれにしろ、ぼくは何とかなると思っているのは、ネットの世界の可能性を思うからである。いま言ったようなリソースの確保にしても、別に同じ会社にいなくてもいいわけで、ネットワーク型の仕事体でかまわないし、そういう形態は当たり前になっていくような気がするのである。
さて、いよいよ3期目に突入するが、1年後のこのブログにどんな報告ができるか楽しみである。