日本のIT投資はなかなか増えないようだ。政府でもIT投資の促進を謳っていても、笛吹けど踊らず感がある。まあ、笛の吹き方も悪いけど。
どうして、投資をしないのだろうか? 経営者がITを理解していないだとか、IT戦略を立てられるCIOがいないだとか、ROIが成立しない、日本では従業員が優秀だから人手でやってしまうとか、いろいろな言われ方をされているがいったいどれが決め手なのだ。
ぼくが思うに、大きな理由のひとつに、雇用の流動性の欠如があるように思える。風が吹けば桶やが儲かる式の話になるが、日本では依然として終身雇用制が残っている。そうであると、今いる会社で長く存在感を発揮することが給与を上げることになる。
ということは自分の存在意義として固有性を保持することが重要となり、仕事が属人化する。IT化は標準化のことだから、属人性を排除して成り立つのでそこでコンフリクトが起きて、IT化抵抗勢力が形成される。
経営者はそれを改革してまでIT投資をする気がない、というか正当化するための理論武装ができるほどITに理解がないからIT化は夢と化す。
これをいいとか悪いとかいう議論でいうとよくわからない。別に無理してIT化する必要はない。ITなんか使わなくても、自分の会社の身の丈にあっていればそれでいいのだ。
だが、日本における雇用の流動性の欠如はIT化の問題に限らず、どうも日本の活力を失っている原因のひとつのようだから、そのうち雇用の流動性が今よりおこっていく可能性は高い。そうなると、仕事の標準化がおき、そこにITをぶつけていく事態は当然予想され、そういう意味ではいまから準備しておくことなのだろう。
もうひとつ言えるのは、経営者にIT投資がおしなべて高いというイメージが刷り込まれていることではないだろうか。高い投資額がIT化を妨げているということだ。そうしたら、ITの価格が下がれば導入が進むのだろうか。ことはそう簡単ではないような気がする。
だいぶ前になるが面白い話を聞いたことがある。あるパッケージソフトがよく売れているというので、その数を聞いたらものすごい数なのだ。そのまま、全部使われていたら大変なことになる。ところが、それほどでもない。
どうしてかというと、入れたはいいが使ってない数が多いということである。捨ててしまったというわけだ。要するにこのソフトは“使えなかったら捨ててもかまわない”値段だったというわけだ。この話を聞いたときになるほどと感心してしまった。
もうひとつ、逆の話として安いと信頼感をもてないというか、安かろう悪かろうと考えてしまい、ある程度高くないと使わないという心理もある。これもおかしな話なのだが、こんなにお金をかけたのだからいいものを手に入れたはずだと思い込む。開発のようなケースでもあって、あまり早く安く作るといいものではないと思われたりする。
だから、必ずしも、安くすればIT投資は増えてくれるのかというと必ずしもそうはいかない。ただし、それは、いまもかなりIT化をしているような大企業のケースが多い。IT化が遅れている中堅・中小はそんなことは言ってられないので、安いのにこしたことはないと思う。
まあそうは言っても結局は、安けりゃみなさん使ってくれるはずだ。やっぱ、IT化を妨げている一番のものは価格であるとしておこう。ユーザのみなさんよく言いますよね”もうちょっと安ければ買ってあげるのに”(ウソかホントかわからないが)
