同じような言葉や言い回しなのだが、実は中味は違うということがある。情報システムに関することでそうした誤解、曲解があったりする。
このブログでも何回も指摘しているので繰り返しになるが、ただ今まで書いたことを整理しておくということもブログを書く上で大事なことでもあると思うので、あえて同じようなことを書く。
よく混乱するワーディングには、ビジネスモデルとビジネスプロセス、要求定義と要件定義、ソフトウエア開発とシステム開発といったところがある。2番目の要求定義と要件定義についてはちょっと前のエントリーで書いてあるので、前後についてみていく。
ビジネスモデルというのは、事業の形態、収益のあげ方、競争のし方などで、戦略的な意味合いが強く、競争優位を保つためのモデルといえる。
それに対して、ビジネスプロセスというのは、戦略を実行するための業務遂行プロセスで、かなりオペレーショナルなもので、どちらかというとリソースの稼動効率を最大化してコストを最小化することに重点を置いている。ビジネスモデルはCEOの責任であり、ビジネスプロセスはCOOのミッションということでもある。
3つ目のソフトウエア開発とシステム開発である。ここでちょっと話がそれるが、開発という言葉を両者が使っているが、実態はどうも違うように思える。開発をしているのかどうかということである。ソフトウエア開発は、プロダクト開発といってもいいが、むしろソフトウエア製造とかプロダクト生産のような言い方が近いのではないだろうか。
また、システム開発はシステム構築のほうが似つかわしいと思う。業務システムはシステム屋が開発するのではなく、ビジネスをやっている人が開発するものである。
ソフトウエアを作ることとシステムを作ることはだいぶ様相がちがっていて、理解しやすいように例え話でいうと、自動車産業と運送業とかタクシー業の違いである。ソフトウエア(プロダクト)を作るのは自動車を生産するのに似ている。しかし、業務システムを作るということは運送屋が自動車を使ってビジネスやオペレーションをどうするかの仕組みを作ることと同じである。
このことは、よくIT業界を自動車産業になぞらえていう人もいるが、決定的な違いはここで、企業の情報システムを作るのは自動車を作ることではなく、自動車を使ったビジネススタイルを作ることなのである。だから、難しいのだ。
誤解を恐れず言うと、自動車生産のモデルは簡単だ。適当に予想してそれにあったようにモノを作り、売ればいいのだ。それがどんなところで、どのように使われようがどうでもいい。ベンツで田んぼのあぜ道を走ってスーパーにいってもいいし、トラックに人を積んでどうでもいいのだ。基本的にProductOutだからユーザの恣意に踊らされない。
それに比べると、システム開発は、様々なユーザ要求に対するソリューションとしてあるので、モデル化も難しいし、単純な方式化も大変なのである。だから、自動車産業のほうが上でITは劣位だなんてことはなく、システム構築でやっていることはかなり高度なことをやっているのだ。いや、まだできていないから、これからやらなければいけないと考えたほうがよい。
オレたちのやっていることはかなり高度な産業であるという誇りをもったらいい。それを矜持という。ITに関わる人間としての矜持こそ大切なのではないだろうか。
話はそれたが結局まとめると、それぞれの言葉は似ているようでちがうが、しかし関連性があってつながっているのである、それを表現すると、
「経営戦略から導き出された“ビジネスモデル”から“要求定義”を行い、モデルを実行するための“ビジネスプロセス”に落とし込み、そこからの“要件定義”に従って“ソフトウエア開発”されたプロダクトを活用して、“システム開発”を行う。」
ということになる。
