60歳を過ぎると映画館でシニア割引という特典にあずかることができる。やっとそうなったので昨日は品川プリンスホテルシネマに行く。お目当ては「おくりびと」。ぼくの友達が絶賛したのでワクワクして行く。
初めてシニア一枚といったら、証明できるものを見せてくださいと言われるものだとばかり思っていたら、何も言われなかったので拍子抜けする。ふと、こりゃ喜んでいいものやら悲しむべきことなのか一瞬とまどってしまった。だって、歳相応あるいはそれ以上に見えたってことだから。
それはともかく、滝田洋二郎監督「おくりびと」は素晴らしい作品であった。こういうのを”秀作”という。ちょっと前にモントリオール映画祭でグランプリを受賞したニュースが飛び込んできた。さもありなんという感じである。海外でもこの映画のよさがわかるのだ。
さて、映画であるが、新聞の折込求人広告で勘違いして始めた仕事が納棺師という主人公が、様々な死と出会いながら、そして自分の肉親との死による再会といったことを経て、その職業に誇りを抱いていく物語である。それを、山形の自然のなかでまじめに美しく描いて見せた。
重厚でもなく、重苦しくもなく、さりとて軽くではなく、死をこんなかたちで見せてくてた映画はかつてなかったように思う。人間は死を避けられない、誰でも必ず迎えるものである。それゆえ、”おくってもらえる”ことはほんとに最後の望みのような気がする。そんな見方はしていなかったのですごく考えさせられる。
俳優陣も主演の本木雅弘がすばらしかったが、なんと言っても、山崎努の渋い演技が何ともいい味を出して映画を引き締めていた。広末涼子は、そんなにうまい演技だとは思えないが、泣き笑いの表情はよかった。それよりも何よりも死体を演じた役者さんが一番よかったんじゃないかな。
この映画は、日本映画のよさを発揮した素晴らしい作品であった。ぜひ、見てください。
