銀座の「M」の常連に噺家の柳家小里んがいる。その「M」のママに立川談春の「赤めだか」の話をしていたら、すぐに本を持ってきて、これを読んでみたらと言われた。それが「内儀(かみ)さんだけはしくじるな」(古今亭八朝、岡本和明著 文芸春秋)である。小里ん師匠は立川談志と同じ5代目柳家小さんの弟子で、しかも内弟子だったので、この本に登場する。
本は、その五代目柳家小さん、六代目三遊亭圓生、八代目桂文楽の内儀さんにまつわる話をその内弟子だった噺家に暴露させようというものである。
ところで、落語家の師匠というのは、その住んでいるところの名前で呼ばれる。小さんは目白、圓生は柏木、文楽は黒門町の師匠となる。
そんな師匠の家に住み込みで修業をするのが内弟子で、いわば家族のような存在になるので、しょっちゅう顔をつき合わせているわけで、否応なしに師匠やお内儀さんとのバトルが展開するのである。
いまだから話せることも多く、面白いエピソードが満載である。芸人さん世界は一般の世界とまた異質であるが、特に落語家の世界は、落語そのもののような話が一杯出てきて楽しい。
こんな家で内儀をつとめるのは大変だ。三者三様の内儀が登場してくるが、それぞれが個性的であるが、それぞれ共通するのは、師匠に惚れていて情が厚く男っぽいところかもしれない。うちの嫁さんと正反対だ?!
ただし、「赤めだか」の迫力にはちと及ばない。まあ、これは聞き書きの形態をとっているのでしかたない。でもおもしろいことには間違いない。
今度、小里ん師匠に会ったら、ここに書いてあるさらに裏の話を聞いてみようと思う。


