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サイモンの意思決定プロセス

以前の記事で少しばかりH・A・サイモンの意思決定プロセスのことを書いた。これについて、彼の著書である「システムの科学」も参考にしながらみていくことにする。

サイモンの意思決定のプロセスというのは、
1. Intelligence Activity(情報活動)
2. Design Activity(設計活動)
3. Choice Activity(選択活動)
ということになる。

すなわち、情報活動で意思決定のための情報を収集し、問題点を明らかにし、設計活動で、問題解決のための代替案を提示し、選択活動でそれらを評価し、満足解(最適解ではない)を得るというプロセスのことである。

これは、業務プロセスそのものではないかと思うのである。サイモンも「意志決定は管理(Management)とほぼ同義である」と言っているように、経営は意思決定であり、組織は意思決定の分業化されたシステムのことでもある。

こうしたサイモンの意思決定論は記述的意思決定論とよばれるが、他にも規範的意志決定論と呼ばれるものがある。これは「意志決定者に対して、いかなる決定を下すべきかの規範ないしは処方箋を提供することを主目的とする」ものである。

一方の、記述的意思決定論というのは、「現実の意思決定行動の記述を目的とする」もので、実際に、人や組織はどのように意思決定を行なっているのかを実証的に説明することである。

この理論を乱暴にBPMにこじつけていくと、規範的意思決定はトップダウンアプローチであり、リファレンスモデルやベストプラクティスに基づき、より近い解を提示することと言えないこともない。そうなると、記述的意志決定論はボトムアップアプローチでAsIsを描いて、そこからToBeへいくという姿勢である。

サイモンは、規範的意思決定論と相違するのは、人間はそんなに合理的にはできていないといういところであると述べている。

古典的な経済学や決定論では、いつも合理的にふるまう「経済人」や「経営人」がいるという前提にたつ。そうした人間は合理的な行動をとるから、最適基準を提示できるという理屈になるが、そんな人間なんてどこにもいないというのがサイモンの主張である。人間は限られた状況においてのみしか合理的な決定、判断ができないというあの有名な「限定された合理性」である。

話はちょっと飛ぶが、これは今の金融危機あるいは経済学の破綻も似たようなところがあって、経済は必ずしも経済学的には動かないもので、心理的な行動による面もかなり大きいことが今回の状況で証明されている。サイモンは昔からそういうことを指摘していたのである。

日常的なビジネス活動の局面においても必ずしも皆が合理的な意思決定をするとは思えないのであって、そこをどうやるかが問題となる。

また、サイモンは意思決定のタイプとして、「定型的意思決定」と「非定型意思決定」があると述べている。前者は反復的、ルーティン的で、モデルに依存でき、プログラム化される意思決定である。それに対して後者は、問題の本質と構造が複雑で不明確、アドホックな非構造的意志決定である。

さあーて、これはまさに定型業務プロセスと非定型業務プロセス(機能)と同じことを言っている。こうした分解は、解決する技術が違ってくるので大事なことだと思う。

では、人間はこうした限定的な合理性しか持ち合わせていないとなると、どうしたら“より合理的な”意志決定ができるのだろうかということになる。その答えの一つが、組織による意思決定の分業化なのである。合理的な意思決定をするための装置としての組織である。

これは、具体的には、意思決定の前提を伝達するコミュニケーションシステムを機能させ、組織の分業により、より合理的な意思決定をおこなう仕組みを確保することである。

限定合理性あるいは不確実性という前提のもとでとりうるシステムは、最初に述べた意思決定プロセスを実行できる環境のことであり、それはとりもなおさずこれからのBPMがめざすところなのである。
 
その具体的な仕組みとして、ぼくはWebサイトによる「情報共有の場」を提供することで、”納得あるいは満足できる”意思決定を行なうことを提案しているのである。
 

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2008年11月06日 09:42に投稿されたエントリーのページです。

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