ぼくには、2つ上の姉と3つ下の弟がいる。当時としては珍しいほうかもしれないが、家の近くに幼稚園があった。3人ともその幼稚園に通った。ぼくは、姉の手を握りしめながら通園したのを今でもはっきり覚えている。
幼稚園生活は楽しかった。みんなで砂場や遊具で遊ぶのも面白かったし、お弁当の時間がまた楽しかった。冬になるとダルマストーブの上にお弁当箱をのせて暖めてから食べる。お昼近くになると、そこから立ちのぼる湯気と匂いでお腹が鳴った。
今では弁当箱はアルマイトではなくプラスヒックだし、ダルマストーブはなくエアコンだから、電子レンジでチンということになる。ずいぶんとスタイルも変わるものだ。
そして、なんと言っても一番の楽しみは、クリスマスである。クリスマスの日にはスプーンとお皿を持参していく。昼時になると、坂の上からサンタクロースが大きな袋を提げてやってくる。何をもらったかは忘れたが、小物のプレゼントをもらう。
そのあと、みんなでカレーライス(いやライスカレーといった)を食べるのだ。なぜクリスマスにカレーなのかはわからないが、これが無茶苦茶おいしい。世の中にこんなうまいものがあったのかと思った。
そして、サンタクロースは実在すると思い続けたわけである。そのサンタクロースは先生が扮装していたということは後年知ることとなる。
この幼稚園というか、ここだけではなく、このころの幼稚園はおしなべてけっこう厳しかった。いたずらをするとビシッと叱られる。あるとき、友達5,6人で女の子をからかっているのが見つかったことがあって、このときぼくらはみっちり怒られて、倉庫に閉じ込められてしまった。
かなり長い時間、真っ暗な部屋に入れられ、もう泣きべそかきそうになりながら、はげましながらじっと我慢していた。もう耐えられないと思ったとき、がらっと戸があいて光が差し込んだときはほんとほっとした。
この時代、こうして子どもを叱るのは当たり前で、それで善悪をからだで覚えさせたのである。今でも記憶にあるということはそういうことだと思う。
