今年の夏にある若い経営者と一緒に呑んだことがあった。そのときの様子はこのブログでも紹介したが、彼がそのときあの伝説のプロレスラー力道山の本を書いたという話をしていて、びっくりしたことがあった。何がびっくりしたかというとリアルの力道山を知らない子が本を書いてしまうことにだ。それで今度その本を送りますからということで別れた。
そしてしばらくそんなことがあったのも忘れていたら、この間、本が届いたのである。それが「力道山」(中村祐介著 ヴィレッジブックス)である。
これは、映画と同時に小説ができるというスタイルで、だから映画のストーリーと同じである。2年前の今頃のブログ記事にDVDで観た映画のことを書いてあったので、読み返してみた。そうしたら、あまりほめていなかったのだ。
こりゃまずいなと思いつつページをめくっていった。そうなると、映画と小説の比較みたいなことになってしまう。おそらく、ねらいは小説を読んで映像が見たくなるということだろうと思うがいかがなものだろうか。
映画を観ていたせいか、もう半日で読了した。でその感想だが、映画より小説のほうが少しはいいかなという感じである。結局映画でも言ったのだが、力道山の相撲界に入ってから刺されて死ぬまでをなぞっているわけで、そうなるとあの偉大なヒーローを文庫本一冊程度、あるいは149分の映画の中で表現するのは無理があるように思えるのだ。
もうある断片をとっただけでも立派な小説が書けると思う。従って、そういう断片をつなぎ合わせて展開してもどうしても深くえぐっていないので物足りなさが残るのである。
それでも、ぼくらの世代にとっての力道山はヒーローのなかのヒーローだから、もちろん感動して読むのは当然で、若い子にあの空手チョップを知っているかいと思わず言いたくなってしまう。
中村君は「大統領の理髪師」というこれまた韓国映画の小説を書いているのでそちらも読んでみたくなった。


