おととい池袋演芸場で開かれた柳家小里んの独演会に行く。もう37回目になる。今回の演目は珍しく人情噺の「文七元結」である。
小里ん師匠もまくらで自分は人情噺は好きでないと言っていたが、林家正蔵(前のこぶ平)にあるとき何気なしに「文七元結」でもやるかと言ってしまったらしい。そうなると、言ってしまった手前引っ込めるわけにはいかない(これは、文七元結の長兵衛の心持ちと同じだ)のでやることになって稽古をしたらしい。
ところがそれを披露する落語会が中止になってしまって、そのまま止めるわけにはいかなかったので今回の独演会でやることになったらしい。
この落語は三遊亭圓朝作の大ネタでこれまでも大物が演じた題目で、そんなところも小里ん師匠が敬遠していたのかもしれない。
おとといは日曜日であったので、銀座の「M」(ここは小里ん師匠も常連客のひとりである)ご一行様がすでに一画を陣取っていた。時々顔を合わせる落語好きのMさんも来ていた。暗いところの隣に座ってくれないとわかからないなあと冷やかされてしまった。
いつものようにマスタからビールとつまみの差し入れがあって、それを飲みながら開演を待つ。
始まる時間が夕方6時からであったが、これがまたポスターは6時になっているが、前売り券は6時半になっていた。それを金曜日にマスタから間違えないように電話が入ったので、てっきりたっぷり時間をとってやるのかと思ったら、そうではなくて単に間違えたみたいで、急遽前座の女性落語家の噺をいれたみたいだ。これまた落語みたいなな話である。
柳家小里んの人情噺もいい。人柄の良さを出すには、かえって滑稽噺よりこうした人情噺のようが合っているのかもしれないと思ってしまった。
「文七元結」はご存知のように、バクチばかりで借金だらけの左官の長兵衛だが、その江戸っ子としての気概を面白おかしく演じるものだが、その前に演じた麟太郎も借金の取立ての噺がでてくるように、この今の世知辛い世の中を反映しているような気がして、身につまされる思いがする。
それこそ、こんな時期だからこそ落語を聞いてそんな気分を吹っ飛ばしたいものだ。落語の登場人物というのは貧乏を楽しんでしまうようなキャラクターが多いのできっと勇気をもらえると思いますよ。
