映画の友のS君から、これはお薦めですよという作品「誰も守ってくれない」を川崎109で観る。チケッット売り場で陣取ってしまう若い女に腹を立てながら、始まる寸前にチケット入手。
初めて年齢確認をさせていただきますと言われちょっぴりうれしかった。ところが、隣に来た明らかに60歳はオーバーしているおじさんにも同じことを言ったのでがっかり。
そんなことはどうでもいいのだが、この映画はS君が薦めるだけのことはあってすばらしいできばえだ。監督が君島良一といって「踊る大捜査戦」の脚本なんかを書いていたひとである。だから警察ものだというのかもしれないが、単純な刑事物語ではないところがこの作品を際立たせている。
これは、視点を変えた効果である。こういう姿勢が評価できる。被害者の家族の視点から加害者の家族への転換である。今まで気がつかなかったことである。こういう視線はすごく大事で、こうした世の中では誰もが加害者にもなるし、被害者にもなるのだ。だって、飛躍するが環境問題だって同じ構図ですよね。
この警察が加害者の家族を守るということは知らなかった。確かに、今のメディアやネットいやメディアは世間に媚びているので世間といったほうがいいかもしれないが、それは以前に比べすさまじく攻撃的になっている。だから、映画で描かれていることが決して非現実的ではないのである。
ただ、少し話は映画からそれてしまうが、こうした犯罪をマスコミが取り上げることにぼくはすごく違和感がある。それはなぜかというと、そうした報道が誰かを助けることになっているのかということである。犯罪の抑止力になっているのかということである。
むしろマスコミが犯罪を報道することで、犯罪を煽っているように思えてならない。だれも得にならないことはやめたほうがいい。この映画を観るとつくづくそう思うのである。
その他にもこの映画は家族の問題を語りかけている。家族とはいったい何なのだろうか。信頼できるものなのだろうか。それとも、そこから自立することが求められているのだろうかという問いである。すごく重いテーマである。
映画では、犯罪者であっても兄だからおまえが守ってあげろというセリフが決めだが、そこは別の考え方もあってもいいと思うので、各人でよく考えることだろう。
ただ、難点は作りが“粗い”ことだ。佐々木蔵之介の記者にしても最初に絡みはわかるがそのあといつのまにか消えていってしまう。また、少年の裏切りが描かれるが、ただ“つらい”だけでもう少し突っ込み方もあったような気がする。
出演した俳優たちもすばらしい。主演の佐藤浩市にしても、少女役の志田未来にしても名演技が光る。ぼくは何といっても松田龍平ですね。義理で出した柳葉敏郎がクサかったのに較べて、ワルっぽいクールさがいいですね。
これは、イチ押しの映画です。
