五木寛之も早いものでもう76歳である。林住期を過ぎて遊行期に入ったその五木寛之が書いた「人間の覚悟」(新潮新書)を読む。
“そろそろ覚悟をきめなければならい”という書き出しで始まる。覚悟するとは、「諦める覚悟」である。諦めるというのは投げ出すことではなく、「明らかに究める」ことと説く。
五木寛之の原体験は満州で終戦を迎えたことに遡る。それが強烈なトラウマとしてずっと引きずっているのである。そして、仏教、特に親鸞、蓮如に言い及ぶ。
小さいときに強烈な経験により、人間の弱さ、きたなさ、はかなさといろいろな側面を目のあたりにし、しかし何が何でも生き延びることを課した。そんなひとの言うことに説得力がないわけがない。ぼくも齢を重ねれば重ねるほど彼の言わんとしていることがわかるようになってくる。
この本で言っている主なことは、下山の哲学、すなわち登っていく時代から下っていく時代に変わってきたので、自分をじっと見つめることが大事である。そして、他力の風にまかせよと言っています。
また、これは養老孟司と通じることなのだが、日本人には昔から自然に対する畏れがあり、一草にも虫にも動物にも心があり、魂があり、仏性がある、森にも山にも命があると考えています。そこには、外国の一神教ではありえない、多神教的な豊かな感性があるであり、そういう心性をもつことがこの時代の生き方、覚悟をもった老後をおくることだと聞こええてくる。
そして、“生きることの大変さと儚さを胸に、この一日一日を感謝して生きていくことしかない。そう覚悟しているのです。”と結んでいる。うーん腹にずしんときますねえ。
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覚悟がいる時代
時代を象徴する本
むしろ人間の諦め。
私もついに覚悟を決めた!
マイナス成長も、老いることも、死さえも恐くない

