これは奇跡だ。本ではなくてこの本に登場する木村秋則という人そのものである。もうとんでもなく凄い男の物語である。「奇跡のリンゴ」(石川拓治著 幻冬舎)を読みだしたとたん凄い衝撃を受け一気に読み終えた。
木村秋則は1949年生まれで青森県中津軽群岩木町(現弘前市)というところでリンゴ園を営む。その木村が無農薬でリンゴを実らせたということで話題になり、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介され、すごい反響があった。いまでは、生産量が注文に追いつかないという。それだけ、ふつうのリンゴと違うのだそうだ。
しかし、そうなるまでには想像を絶する苦労があったことがここに記されている。無農薬でのリンゴ栽培を志してから8年間、実りさえしない、いやほとんど枯れそうになるところからみごとに花を咲かせ、リンゴを実らせたのである。
その執念たるや恐ろしいくらいであるが、ただそれだけなら、他にもやれる人がいるかもしれないが、彼は類まれな旺盛な探求心を持ち合わせていた。だからこそ、同じことの繰り返しではなく、様々なことにチャレンジして、やっとたどりつくことができたのである。この二つの要素がなければできない話であろう。
リンゴがならないということは、収入源がないということであるから、生活は困窮を極める。しかし、そこは狂ってしまった木村には止めるわけにはいかなかったのだ。ですから、この物語の主人公は木村ではあるが、そこまでできたのは家族があってこそだと思う。一家離散してもおかしくない状況でもその狂った行いを許した家族がとてもすばらしいと思うのである。
昔プロジェクトXという番組があって、この人が紹介された「プロフェッショナル 仕事の流儀」もそれと似た番組だが、そうした番組を見るといつも思うのだが、「妻たちのプロジェクトX」という番組を作ってくれないかということである。きっとオヤジ以上に苦労している人ばかりなのではないでしょうか。
現在、リンゴに限らず、他の果物、野菜もすべて農薬なしには栽培ができないことは常識である。その常識を打ち破ろうとしたのである。
以前、永田式農法のことを書いたことがあった。水をやらないトマト栽培である。これも似たようなところがあって、水をやらないほうが、しっかりと根をはり、表面に柔毛が生えて、非常に甘くておいしいトマトになるという。ただ、リンゴはそんなものではないくらい難しいのだという。
どうやってその常識を破っていったかは、ぜひこの本を読んでみてみてください。最後は死のうとさえ思ったところから、見出した驚異の方法にびっくりすること請け合いです。
ここで少し、この常識を破るということを考えてみたい。それには、まず今の常識はちょっとおかしいなあ、何となく違和感があるなあというところから始まると思う。
そういう感覚はどうして生まれるのでしょうか。ぼくは、ものの本質を突き詰めていくことがあって、それの行き先が“自然”ということではないのかと思っている。最後は、人間って自然の中で生かされているし、人間そのものも自然である。
この世界にあるものはみな自然が作り出したものであり、それがなぜ存在するのかも自然が決めていることになる。だから、常識に違和感を感じるということは、それが“自然”ではないことからくるような気がする。
自然はまたバランスのとれた巨大なシステムでもある。だからそのバランスを崩すような常識はおかしいのである。こうした感覚が非常に大事なことだとこの本を読んで改めて思うのである。このあたりについてはまた別途書いてみようと思う。
再度、絶対に読んでみてください。勇気をもらえますよ。
- 石川 拓治 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
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1人でも多くの人に読んでもらいたい1冊です
果樹農家の家で育ちました
このライターにして、この本あり。
すごい、すごい人がいたもんよなぁ
傑作です!


コメント (1)
件のリンゴについては、こんな意見もあります。参考まで。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090212/165571/
投稿者: passenger | 2009年03月13日 14:58
日時: 2009年03月13日 14:58