もう巨匠と呼べるクリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」を観る。さすが、クリント・イーストウッドで素晴らしい作品に仕上がっている。
「生と死」というような重いテーマも理屈っぽく説明的にならずに実感として滲みてくる。それは、「ミリオンダラーベイビー」や「父親たちの星状旗」もそうだが、普通の人、というかマイナーな存在の人々に焦点をしぼり、そうした世界でこの難しい問いかけをしていることに起因していると思う。
この物語は、朝鮮戦争を戦った人間が、現代の風潮を受けいてられない頑固さや、昔風の男らしさを求めて孤立しているが、隣人の“イエロー”のアジア人とのふれあいで徐々にその心が変化していく様を描いている。
グラン・トリノといういのは、フォードの名車で1972年に製造されていて、それをいまだに主人公の老人が保有している。その車もこの映画にとって重要な意味を与えているわけで、そうしたことで言うと題名のつけ方も感心させられる。
最近、ばかなタイトルがけっこうあるし、邦題にするとひどくなるというケースを何度となく見せられると素直にほめてあげたくなる。
この主人公はフォードに50年も勤めた組立工の設定で、彼の息子がトヨタのセールスマンというのも、その対立の構図を象徴的に表現して、うまいなあと思ってしまう。
これからは若干ぼくの独断だけど(全部独断かも?)、クリント・イーストウッドは、人種の多様性についてすごく理解があるように思う。言い方を変えると、アメリカ的な文化、生活などの限界も分かっていて、それを解決する手段は何かということを突いてきているのである。
映画の中でもポーランド系(この主人公もそうだ)イタリア系、アイルランド系などや極めつけはイエローであるが、そうした言い方で人種のるつぼであるアメリカの悩める姿を描き出している。
妻を失って、一人になった男の家の隣にモン族というアジアの少数民族の家族が引っ越してきて、そこから展開されるトラブルを通して、この頑固な老人が変化していく。ネタバレになるので最後どうなるかは言わないが、感動的で唸る演出である。
実はこのあたりは日本映画に通じるものだと思わず膝を叩いたのだ。イーストウッドは高倉健なのである。観たら分かると思うが、任侠映画のラストシーンに重なるのだ。
これ、また独断が入るがイーストウッドがマカロニウエスタンで学んだところとヤクザ映画もマカロニウエスタンと相通じるところがあるので、その延長で「グラン・トリノ」が作られたのであると思ってしまう。
いずれにしろ、こうした作品を観ていると映画の醍醐味を感じざるを得ないのである。
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アメリカの懺悔
グラン・トリノ観ました。
現在のイーストウッドならではの最高の演技と表現
これで主演が最後?今後も良質な映画を作って欲しいです!!
老いるという事、若いという事、アメリカという国

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