先の衆院選で大敗した自民党の敗因をあれこれ言われているが、わかりやすい形ででてきたのが、いま行われている総裁選であろう。西村、河野、谷垣の3氏が立候補しているが、記者会見でのそれぞれの立候補の弁を聞くだけでそれを知ることができる。
しかも、なぜ自民党は負けたか、そしてこれからどう立て直したらいいのかという質問への冒頭の3分の答えに凝縮されているように思う。曰く。
西村:敗因は景気の低迷など国民が苦しんでいるのに、自民党だけがいい思いをしているんじゃないかと思われたこと。
立て直しについては、国会論戦をしっかりやる。リクルーティング機能の充実。党のイメージをスピーディでクリーンで透明なものにしていく。
河野:敗因は、自民党は政権与党であるということぐらいしか訴えられていなかったこと。立て直しは、小さな政府で健全な競争による経済成長をもたらし、その果実を国民の皆さんの豊かさへつなげたい。ばらまきではなく、小さな政府という民主党への対立軸を鮮明にすることで立て直したい。そして、リーダシップの世代交代を行わねばならない。いつまでも古い派閥政治はもうやめて党がきめていくという体制をつくるべきだ。
谷垣:敗因は、景気の低迷やセーフティネットの不備、リーダがコロコロ変わるなど国民の不安に答えきれなかったこと、その説明が不足していたこと。立て直しでは、国会論戦が大事であり、保守政治の正道立って臨む。広報や宣伝を行う機関の強化。みんなでやろうぜ気持で全員であたる。そして、新総裁になったら早い機会に全都道府県をまわり地域の事情を見る。
ここで、言っている中身がどうのということではなく、主張していることが“目的的”になっているかどうかという話である。上の3人の意見を読んで明らかにその違いを見ることができると思います。
まず敗因の分析では、西村、谷垣の言っていることは全く本質から外れている。説明不足だとか、イメージが悪かったとか言っているわけで、そんなことで国民はノーと言ったわけではなく、体質そのものや政策がないないことに起因していることがわかっていない。
もっと、驚かされるのはこの二人の立て直し案だが、国会論戦をきちんとやる、広報を充実する、党のイメージを変える、新総裁になったら全国を回る、だ。なんじゃこれ? これは、目的でなく手段であり、意気込みであって、どうしたいかという具体的な考え方や方向性を示してくれていない。
その点、河野太郎は明確だ。こうしたきちんとした議論ができるための論旨を設定してもらいたい。そうではないと違いが浮かびあがらない。
これは、政治に限ったことではなく、ビジネスの世界でもよくある話で、抜本的に変革しなくてはいけないのに手段だけを変えることでお茶をにごす人が多いことをよく感じる。そして、こういうひとたちは、情緒的なんですね。
本当はこうしたかったが、やり方がまずかったとか、理解してもらえなかったとか、しっかりとできなかったと言って、そこを直そうとするわけで、本質的な変革に及ばないのである。どうもこうなると、これは日本人の弱点のひとつではないかと思うのである。
