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日本辺境論

ぼくはかねがね日本という国の位置が特異であると思っていて、それは辺境の地であるということなのだが、そのことによって、さまざまな日本人のメンタリティや国民性を決定づけているのではないかという仮説を持っている。

ぼくの辺境論では、そもそも人類の発祥の地であるアフリカから、いく手かに分かれて大ジャーニーが始まったわけだが、そこの一つの分派たちが、中国に行きつき、さらに朝鮮半島を通り、海を渡って日本列島にたどりついたはずである。そして、彼らは、その先に横たわる太平洋をみて愕然としたに違いない。そしてしかたなしにその島にとどまったのが日本人となった。だから、そういう意味で日本人は辺境人なのである。

その影響はどうなのかということに関しては、ぼくは2種類の人間がいたのではないかと思っている。ひとつのタイプは、定住をよしとしない冒険的な人間、もうひとつは、そうしたひとについていけばひょっとしたらいいことのおこぼれにあずかれるかもしれないと思う付和雷同するタイプ。この2種類のタイプの人間が日本人をかたちづくっていると思っている。

さて、こんな勝手な辺境論は置いといて、内田樹の「日本辺境論」(新潮新書)、それも自筆のサイン入りのものを読む。帯に書いてある養老先生の言葉じゃないが、これは面白い。ウチダセンセイのブログをいつも読んでいる身にとっては、そう目新しいことを言っているわけではない。(本にもそう書いてある)

しかし、その筋立ての巧みさで楽しく読める。この本では、「辺境」の定義は、「中華」の対概念として提示されている。おわかりですよね、「中華」はお隣の国です。ですから、日本列島の住民としての意識は、「中華皇帝」の支配下であるところの辺境の自治区の住民であるということである。

そこから導かれることは、自分たちが、“中華”になることはあり得ないことで、先頭にたって引っ張っていくことを拒否したのである。いつも先行する何かがあって、そことの対比の中で自分の存在を確認するかのようである。

だから、よく言われように、“後発者の立場から効率よく先行者の成功例を模倣するときには卓越した能力を発揮するけれども、先行者の立場から他国を領導することが問題になると思考停止に陥る”というわけだ。

これだと、日本の首相が東アジア共同体と言って先導できるわけがない。そうしたことができない日本人がいる。だから、ITの世界も世界標準を作れないのだ。なるほどと思ってしまう。

だからといって、それを否定して、日本人よ変われといっても無理だから、その辺境人でいいじゃないかというある種の開きなおりでいこうよとウチダセンセイは言っている。

ぼくは先の辺境論じゃないが、少なくともアドベンチャー精神に富んだやつがいたからこそ、辺境にきたのだから、そいつらのDNAがどこかに残っていると思いたいのだがどうなのだろう。

ところで、この本の後半は日本語の話になってくるが、そこで難読症(ディスクレシア)の問題がでてきて、日本人には漢字と仮名があるおかげでこの病気が少ないと書いてあって、“日本ではまだ症例が少ないので、ディスクレシアを扱った映画や小説を私は知りません”と言っていたが、まさかウチダセンセイは村上春樹の「1Q84」を読まなかったわけではないですよね。(書評もしていると思うが)そこに登場する「空気さなぎ」を書いた“ふかえり”はディスクレシアであるんだけど。

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2009年12月01日 09:28に投稿されたエントリーのページです。

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