先日行われた事業仕分けについて様々な論評がなされ、やかましいくらいだ。おおかたの議論で好意的なのは、オープンにしたこととか、それによりどんな事業が行われているのかの実態(官僚の?)が見えたことであろう。一方批判的なのは、たった1時間で決められるものかとか、仕分け人が横暴であるとか、仕分けの基準がわからないといったところでしょう。
スパコンやGXロケットなどの科学技術に対する厳しさが話題になったが、その中で蓮舫が「世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのですか」と言った件は話題を呼び、利根川進が「世界一を目指さなければ、2位にもなれない」と反論した。ここりゃ、利根川さんの勝ちですね。
こういうものは、世界一を目指すのが当然です。これはあたり前の話ですが、それが問題なのではなく、プロジェクトの形態が変わったことやこんなにお金がかかるわけがないことなどから見直しすべきなのだ。
しかし、それでやってもこの世界で一番になる必要があるのかどうか。いまやコンピュータの能力自体よりもそれを使って何をするかの方が重要な気がする。競争の場は使い方の方にシフトしているように思う。
この話は各所でやられているのでここまでで、ちょっと考えさせられたのは、結局やっていることは普通の企業でやっていることと同じじゃないかと思ったことだ。企業では期末になると、部門ごとにそこまでの実績と次期予算について、経営管理部門からの査定や経営者からのヒアリングというものを行うのだが、それの国版であるということだ。
で今回の事業仕分けを会社で置き換えてみると、事業部門が各官庁や行政法人でチェックする経営管理や経理部門が財務省でヒアリング、承認が政治家になるのではないでしょうか。ただ、税収と売上の違い、モノやサービスの提供に市場原理が働かないことが大きく違う。
でこの市場原理というのを考えてみると、ここではほとんど経済合理性によって維持されているから、公共のサービスにはなじまないという。今回の事業仕分けでも、科学技術やスポーツに対して、経済性だけで議論されるものではないという意見である。
確かにそうだが、企業においても必ずしも全部が経済合理性でやっているわけではなく、将来性だとか従業員のモチベーションだとか、企業イメージ向上だとかそんなところにも投資している。
従って、広い意味の「費用対効果」を算出させて、それで議論するという方向は必要だと思う。すなわち、経済性だけではなく、それ以外の定性的な効果についてもちゃんと主張すればいいのであって、それができていないのではと思ってしまう。国民に夢を与えるのも立派な効果のはずである。
それと、費用の方もちゃんと明細を出させて吟味すればいい。大きな投資なのにかなりどんぶりのように見える。企業で少額でもかなり突っ込んでその意味と必要性を議論する。
それはそうと、今回の事業仕分けで民間企業との大きな違いは、経営理念、経営戦略、経営計画がどこにもでてきていないということだ。だから、今回の事業仕分けは、企業でいう固定費予算みたいなもので、旅費交通費や什器備品費、教育研修費、通信費の査定をやっているようなものだと言ったら乱暴だろうか。
