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IT産業と規模の経済学

一昨日のITproの「針路IT」の記事でソランがITホールディング(ITHD)の傘下に、またエヌジェーケーがNTTデータの傘下に入ったことに関することが書いてあり、そうした動きは、中国やインドの攻勢に対する生き残りのために規模が重要だという認識から来ているとしている。

この記事を書いた編集委員の田中克己さんは、一度お会いして話をしたことがあるが、その時にもそのITHDがインドの対抗として成立したというようなことをおっしゃっていた。多くのITベンダーのトップと会っている方なので、実感として日本のIT企業の危機を訴えています。

ただ、この規模の追求というのは正しいのだろうか。この場合の規模って何のことを言っているのだろうか。会社の大きさ、顧客の数、製品の多さ、従業員の数、いったい何をもって規模といっているのだろうか。

製造業などのような産業では、よく規模の経済学が指向される。特に装置産業のようなところでは、コストにおける設備の大きさと稼働率が支配的であるわけで、単純に言うと総固定費はあまり変わらないので、製品単位当たりの固定費は規模によって変わるから規模が大きければそれが強みになるのである。

ところが、IT産業で同じような理屈があるだろうか。その前に、議論が混乱しないようにIT産業と言ってもカテゴライズをした方がいいのでそうすると、ざっくり3つあって、すなわちソフトウエアプロダクト製造・販売、プラットフォーム・インフラ運用、システム構築・サービスといったところではないでしょうか。

このうち、プラットフォーム・インフラ運用については、先ほど言った装置産業と同じだから同様な規模の経済があてはまる。しかし、現在はネットによるプロダクトのデファクト化やクラウド化により、ワールドワイドでもほんの一握りの企業が主導権を握ってしまった。

では残りの2つのビジネスについてみてみましょう。最初のソフトウエアプロダクト製造・販売は規模が関係ないのはわかりますよね。グローバル規模で使われている商品があるじゃないかと言われますが、これは順序が逆なのです。規模があるから強かったのではなく、強くなれば規模がついてくるということなのです。

さて、システム構築・サービスですが、日本ではこれをSIerと呼んでいて、大小合わせてかなりの数の会社だが存在しています。そこで規模を追求して合従連衡がおきてくるでしょうか。この領域で規模がビジネスを強くできるでしょうか。

ぼくは、この規模拡大という発想ではいま日本のSIerが抱えている問題は解決できないと思います。もし、規模が優位性をもたらすなら、NTTデータがそして他の大手ベンダーが中小規模の会社を淘汰していなくてはいけないはずです。だから、規模ではなくビジネスモデルと業界構造を変えていかなくてはいけないのではないでしょうか。

構造については、この記事にも書かれているように、「大手ITベンダーや一部の大手ソフト会社ばかりに集中する多重下請け構造のために、ユーザー企業から直接案件を受注できるわけではない」という問題を指摘されています。こうした、硬直化した構造を解体して、優れたサービスとビジネスモデルもった“山椒は小粒でもぴりりと辛い”会社が公平に戦っていけるような世界が求められているように思います。

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2010年01月24日 11:23に投稿されたエントリーのページです。

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