「いつか読書する日」の緒方明監督の作品「のんちゃんのり弁」を観る。主演は、小西真奈美で、子持ちの30歳前半の主婦がだらしない夫と別れて弁当屋を始めるまでを演じる。
題名からもそれほどシリアスさは感じないし、軽い映画かなと思っていたら、いやいやなかなか面白かった。大上段にふりかぶるわけでもなく、ごく日常的な風景の中で、しかし、なにげなく世相の問題もあぶりだすのである。
主人公の主婦は、ある日作家志望だという夫に離婚届けを置いて家を出て行ってしまう。どうにもグータラな亭主に愛想をつかしたのである。幼稚園の娘を連れて、下町の実家に戻るのだが、母親はそんな娘を甘やかすわけではないので、とりあえず働かなくてはいけない。
ところが、32歳の出戻り主婦がそう簡単に就職口がみつかるはずがなく、しかたなしに水商売にも手を染めるが、すぐに辞めてしまう。家を飛び出したはいいが、女手ひとつで育てていく大変さを実感するのである。甘いといえば甘いのだが、おおかたの人も同じように気楽に考えていて、いざその境遇にさらされるとその厳しさが分かるのではないだろうか。
そんな彼女のまわりに同級生の写真屋の息子が登場して、いいところまで行くがその男はやがて去って行ってしまう。(緒方明は「いつか読書する日」もそうだが、同級生同士の恋が好きだなあ)そして、さらにしつこくつきまとう元夫が絡んで展開する。この前の旦那とのけんかのシーンはすさまじく迫力がある。
で結局、その辺の周囲の温かい助けなどもあり、幼稚園児の娘に作った弁当が好評であったことにはたと気づいて弁当屋をはじめることになる。こうして書いていくと、どうということがない物語のようだが、何といっても小西真奈美演じる主人公が、明るくのびのびしているのが好感できる。
ぼくはこういうフツーの情景とフツーの男女がいて、ちょっと非日常的な事態になったときに、意外としっかりとしてしまう的なストーリーはわりと好きで、この作品はそんな感じに仕上がっている。
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