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業務システムの再定義-閑話休題(12)

コンポーネントについて

システム構築でコンポーネントを組み合わせることを提案しているが、最近ではSOAもそうだがこうした傾向が出てきている。そこで、以前にも紹介した「イノベーションの新時代」(C・K・プラハラード著 日本経済新聞出版社)でも取り上げられているので少し見ていくことにする。

この本では、イノベーションを起こすためには、これからは「顧客経験の共創」と「グローバル資源の利用」を強く訴えているのだが、これを軸とした競争環境において、革新性を発揮するために、ICT基盤に最低限求められる要件を4つ挙げている。

要件1 業務プロセスをコンポーネント化する。
要件2 イントラネットとインターネットを介して、時間と場所を問わない利用を実現する。
要件3 データや外部システムとのオープンインターフェース。
要件4 総合的な分析力。

このように真っ先にコンポーネント化を提案している。これは、“融通の効く“業務システムには不可欠なことなのである。そして著者は、その実現のためには次のような3つのフェーズを踏むのがよいと言っている。

フェーズ1はいわゆるレガシーシステムで、業務アプリケーションごとに、データ、業務ロジック、ユーザインターフェースが独立している状態です。この状態を出発点として、フェーズ2は、ERPのようなエンタープライズソフトウエアの導入である。データ、業務ロジック、ユーザインターフェースが互いに切り離された状態で、とくにデータの一元管理が達成された。

ところが、このパッケージの導入は今言った統合化とか標準化という意味では効果があったが、まだ硬直的な構造のため柔軟性が欠け変化に弱いのだ。そこで、フェーズ3として、コンポーネントベースの業務プロセスを築く必要があると言っている。

そのコンポーネントの定義として、「業務コンポーネントとは、業務プロセスのうち何度も繰り返し実行されるサブプロセスどうしの関係性やルール、それらルールにまつわるデータ、ルールやデータを利用者に見えやすくするためのユーザインターフェースなどを指す」としている。

そして、「業務コンポーネントを合理的な順序でつなぎ合わせると、業務プロセスができる。例えば、顧客や注文などいくつものコンポーネントを用いた作業を、理屈に沿って並べれば、受注プロセスができあがる。」としている。

ただし、このコンポーネントやデータをどれくらい細かく分けるべきかについては、ソフトウエア設計者の力を借りろと言っていて、抽象論としては素晴らしいが、存外そこの設計が難しく、逆に言うとそこをうまくやれるかどうかが技術レベルを決めるような気がする。

いずれにしろ、アメリカで最も影響力のある戦略論の思想家の1人と見なされているプラハラードがこんなことを言っていて、しかもそれを実践している企業が出てきていることに感動するとともに、日本の企業(特にIT産業)もこうしたトレンドをしっかりと受け止めるべきだと強く思うのである。
  

イノベーションの新時代
posted with yusukebe.com::AmazonSearch on 2010.3.7
  • M S クリシュナン C K プラハラード
  • 単行本 / 日本経済新聞出版社
  • Amazon 売り上げランキング: 47974
  • Amazon おすすめ度の平均: 2.0
    • 4 「個客経験の共創」と「グローバル資源の利用」の価値創造戦略
    • 3 世界的なダイナミズムの潮流、多数の企業事例はおもしろい
    • 2 事例がイマイチ
    • 1 肩すかし
    • 1 主張に新規性なし
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ちょっと気になったので付記しておく。このAmazonの書評を見て評価が低いことを意外に思う人がいるかもいれないが、実はそこにこそ日本の問題があるように思える。そのレビューの一部を引用すると、こう書いてある。

業務プロセスの強調についても、市場の分析や戦略策定に熱心で日常の業務プロセスに無頓着な米国企業の経営者には、インパクトのある主張かもしれないが、ミドルマネジャーが日々工夫しながら業務プロセスを精緻化している日本企業にとっては、「何をいまさら」といった印象である。
あのー、“ミドルマネジャーが日々工夫しながら業務プロセスを精緻化している”からダメなのですよ。これでは、トップマネジメントがビジネスが見えない、精緻になっているがゆえに一部の人にしかわかっていない、環境が変化してもそれに対応できないのだ。そんなことだから日本の企業でイノベーションが起きないし、相変わらず生産性も低いのである。わかるかなあ。   

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2010年03月15日 10:58に投稿されたエントリーのページです。

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