いま、自治体の業務アプリケーションについて検討している。もともとこの領域にはあまり興味がなかったのだが、以前福岡県大野城市の方々とセミナーで一緒になってお話をしたことや、Kailasで公共向けのアプリケーションを組んだらどうなるのかという問い合わせがあったりしたので、少しばかり首を突っ込みだしたのである。
こうした公共のシステムは共通化されてあるものと思っていたが、どうもそうでもないらしい。ということは、各自治体でばらばらにやっていたり、程度の差があるようだ。でも何か標準があるだろうということで捜したら、(財)全国地域情報化推進協会(APPLIC)というところが出している「地域情報プラットフォーム標準仕様書」(2009年)の中に「自治体業務アプリケーションユニット標準仕様V2.1」というのがあった。
早速、これをダウンロードして見てみたが、うなってしまった。そこには、住民記録、福祉、税など26の業務ユニットの一覧があり、それぞれについて、機能、機能構成図(DMM)、機能情報関連図(DFD)、インターフェース仕様、データ一覧、インターフェース一覧などが書いてある。
それでなぜうなったかというと、これに基づいてシステムを作るとどういったシステムになるかとか考えたとき、はたと頭を抱えたというわけである。いちばん業務の実態を表現できる業務プロセス(少なくとも業務フロー)が書いてないのである。しかたがないから、機能一覧とDFDからみていくことになるが、その機能一覧にどういうことが書いてあるかを障害者福祉の一つの機能の例で示す。
こう書いてあるものを見てみなさんどう思いますか。これだと、これから作られるものは、登録・出力システムしかできませんよね。データをシステムに入力して、帳票を印刷して出す仕組みをつくることになってしまいます。
実際に、業務をしている人たちはこうしたシステムを望んでいるのだろうか。おそらくそうではないと思うのです。なぜかというと、こうした業務の目的はデータを登録することではなく、帳票を出力することではなく、住民に対する的確で温かいサービスを提供し、満足を得てもらうことにあるわけで、そこを支援できるシステム化が必要だからである。
結局、システム屋の発想でしか見ていないことがわかると思いますが、ITで何をやらせるか、ITでできることはこれですよというIT主体の視点なのです。これまでの業務システムはこうしたアプローチでずっと作られてきた結果、実業務と乖離したままであるような気がする。
このギャップを埋めるものとして、プロセス志向を主張しているのであって、そして、そのプロセスに実業務の実相を表現することで人間主体の業務システムができると信じているである。
