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クヒオ大佐

何とも奇妙なタイトルの日本映画だ。これを聞いて、ぱっと浮かんだのは、以前家の近くの道路わきの電柱に貼ってあったビラの「ヌキ大佐」である。派手なピンク色の紙で風俗店の名前なのだがそれを思い出してしまった。そういえば、最近こうしたいかがわしいビラを見なくなった。草食系男子が増えたので店もすたれたのかもしれない。

横道にそれたが、映画のことである。吉田大八監督、主演が堺雅人という「クヒオ大佐」を観る。実は奇妙といっても実在の人物をモデルにしているという。日本人でありながら、外人のように偽り、結婚詐欺を繰り返した「ジョナサン・エリザベス・クヒオ」と名乗った男のことで、結局逮捕されたが、刑期を終えて出所してもまた結婚詐欺をしたという。1億円もの詐取をしたそうだ。

この話はにわかに信じがたいだろうが、ぼくらの年代のものはひょっとしたらありえるかもしれないと思うのではないだろうか。それは、一昔前の日本人は、外人とりわけアメリカ人をみると無条件に畏敬の念を抱いてしまうからである。

そんなだましだまされる男女の関係を吉田監督は「まじめに」描いている。詐欺なんて、まわりからみているとなぜだまされるのかとつい思うのだが、そういう人がなぜあとを絶たないのだろうか。おそらく、だまそうとする側がだまそうと思っていない、もっと正確にいうと、最初はだまそうと思って近づくがそのうちだましている意識がなくなってしまうからではないだろうか。

この映画でも堺雅人の怪演もあるのだが、こっけいなくらい必死になったり(なぜか突然必死に腕立て伏せをしたりする)、間が抜けていたり、けっして筋道立ててだましているわけではないがゆえにひっかかってしまう様子が非常に面白かった。

詐欺師というと頭が切れて、スマートでというのが定石なのだが、だまそうとした女の弟に簡単に見破られて反対におどされてしまうというふうに良く言えば人間味がある、まあ何とも情けない主人公だから変に共感してしまうのではないだろうか。

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」に続くこの作品で吉田監督のぼくの評価は高いものになった。

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2010年04月10日 12:15に投稿されたエントリーのページです。

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