菅直人首相になってから、成長戦略ということが言われだした。それはそれとしていいことなのだが、6月18日に閣議決定されたばかりの経済産業省から発表された「新成長戦略~「元気な日本」復活シナリオ~」を読むとちょっと疑問符がつく。
新成長戦略のキャッチは、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を実現するでこれを「第三の道」というらしい。ここは、ちゃんとした経済学者や経済の実務家が議論すればいいのだが、どうもそんなにうまい話があるのだろうかと、つい思ってしまう。それぞれがトレードオフの関係にあるからである。
それより注目なのは、7つの戦略分野のことである。こう書かれている。
こうしてみると、一瞬なるほどと思ってしまうが、成長産業分野という意味では環境・エネルギーと医療・介護だけかよとツッコみたくなる。以前にも指摘したが、みんな“スジが悪い”のだ。こんなものを成長分野なんていうのがおかしい。
どういうことかというと、これらは「貧困ビジネス」と似たようなところがあって、人の不幸が前提になっていることである。いいですか、環境というのは、環境破壊が進むほどビジネスとして成り立つのですよ。病気になるひとが増えるほど医療ビジネスは成長するのですよ。そんな産業を伸ばそうとする魂胆がおかしいと言っているのです。
エネルギーにしても温室効果ガス25%削減と矛盾しませんか。地球環境を守るんだったら、エネルギーを使わないようにすればいいだけであって、環境問題を抱えたままでエネルギー産業を成長させるなんてないのじゃないですか。
すなわち、こういう産業分野で儲けるビジネスを国が奨励するのがおかしい。むしろ国が公共事業的にやるべきだと思うのである。環境をよくすること、病気の人を減らすことがインセンティブとなるからである。売上が減ること、顧客が少なくなることが人々の幸福度を高めるようなことは国の仕事なのである。
それより何よりも、自分のいるエリアにどうしても目がいくのだが、情報通信については多く触れられていない。これは由々しき問題ではないだろうか。情報通信立国といいながら、情報通信の利活用を進めようとか、それも行政と医療ぐらいで、あとは「光の道」なのだ。なんかもう少しあるだろうと言いたくなる。
しかし、こうしたターゲッティングは基本的に余計なお世話である。というか国みたいな素人がビジネスをわかっているとは到底思えない。だいいち、本当に成長分野だったら、国が決める前にとっくに民間が入り込んでいるわけで、そうした参入がしやすいようにとか、変な障壁がないようにとか、国際的な競争が有利になるようにといった制度的な整備だけにとどめておいてほしいものだ。
