いつだったか「プレシャス」という映画の評で「貧しい生活保護を受けているような人々がなぜあんなに太るのだろうか。あのフライドチキンのバスケットを抱えて食べる姿にちょっと待てよと思わず叫んでしまった。」と書いたら、ある方から「その生活保護で配給される食料交換クーポンで食べられる食料が安価で高カロリーなジャンクフードだけだから、という理由だったと思います。」というコメントいただいた。
そして、「ルポ貧困大国アメリカ」(堤 未果著 岩波新書)にそのようなことが書いてあるというご指摘でした。なので是非読まなければということで手にする。実に最初の章に“貧困が生み出す肥満国家”と書いてあるではないか。いやー、不勉強で恐縮してしまった。
ニューヨーク州の公立小学校に通う生徒の50%が肥満児だという。食料交換クーポンで安くてすぐに食べられるジャンクフードやファーストフード、揚げ物中心になるのと、給食もハンバーガーにピザ、マカロニ&チーズにフライドチキン、ホットドッグなのだそうだ。これでは太りますよね。
そして、この本では基本的なスタンスとして、アメリカを席巻した新自由主義、つまり競争や効率重視、規制緩和の市場主義がもたらした多くの弊害が貧困を生んでいると警告しているのである。特に「教育」「いのち」「暮らし」といったところに市場原理を持ち込んだ、あるいは民営化を進めた政府への追及でもある。
ここで事例として挙げられているハリケーン・カトリーナの災害は実は人災であったとか、バカ高い医療費により破滅する中間層、株式会社化する病院といった医療分野のこと、最後の逃げ場としての軍隊、民営化された戦争といったことを知らされるとぞっとしてしまう。
ただ、考えなくてはいけないのは、新自由主義が全面的に悪いというわけではないということで、要はその適用領域を誤ったと思う。上の例で上がっているように、教育、医療、軍隊、警察といった分野への適用は間違いである。ちょっと前にも言及したようにビジネスが国民が不幸になるよう方向にインセンティブが働くようなところに民営化し市場原理を持ち込んではいけないということだ。それは政府の仕事なのである。
本書は、非常に示唆的でしかもきちんとデータを示している良書である。日本はこうしたアメリカの失敗を糧にすることは大事なことで、まねが上手な日本がここをまねてもらっては困るわけで、ぜひアメリカを反面教師として同じ失敗をしないでほしいと願っている。
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経済大国アメリカの「暗闇」
新聞は彼女にこそ学ぶべきだ
規制緩和を叫ぶ前に是非読んでおくべき一冊
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