こりゃまた衝撃的な映画である。中島哲也監督の「告白」は凄惨なバトルを繰り広げる。原作が同名の湊かなえの小説で、ぼくは読んではいないのだが、題名のように関係者の何人かの告白で展開している。
小説では、文章として描写しているのでおそらくそれほど残酷な感じではないと思うが、映画はその殺人の様子を克明に活写しているし、血が飛び交うことでより衝撃的である。
最初に、ある中学校の1年生の3学期の終業式の日に、松たか子演じる担任の女教師が告白を始める。それは、自分が教師をやめるということと数カ月前にその学校のプールで死んだ自分の娘は実はこのクラスの2人の男子生徒が殺したものであると告げるのである。
この告白が、クラス全体がざわついた中で思いつめるわけでもなく、怒るわけでもなく淡々と語るのである。そして、徐々にその告白の重大さ、恐ろしさが伝わっていくという導入には驚かされる。そして、その男子生徒に復讐を仕込んだというのである。
そこから、映画はそのクラスの異様な動きを追っていく。13歳の中学生の不安定な精神と母親との関係性が焦点となる。「愛のむきだし」では父親と娘の関係だったが、ここでは母親と息子である。主犯の男の子は溺愛する母親で、もう一方の子の母親は、電気屋の夫と別れて学者として自立する道を歩むとともにその子を捨てるのである。
ぼくの子どもはもう社会人だからいまどきの中学生の生態がよくわからないのだが、いじめみたいなものがクローズアップされるが、この映画に描かれる中学生はそんなものを超えて、自分の世界にのめり込む身勝手さのようなことの恐ろしさが浮かび上がってくる。
その子らに対して、女教師は命の大切さをその子らへの復讐として提示するのである。これまた恐ろしいことである。もちろんそこには大いなる哀しみがあるが、それにはまた大いなる憎しみがあるからこそであるという何とも切ない物語なのである。
以前に北野武の「アウトレイジ」を批判したが、たけしはもうこういう映画が撮れなくなったと言いたかったのだ。それだけインパクトのある映画であった。
