南アで開かれていたワールドカップは延長の末1-0でスペインがオランダを破って初優勝を遂げる。まずは、スペインにおめでとうと言いたい。きっと国中大変なことになっていると思う。
今回のワールドカップはほぼぼくの予想通りで決勝戦もオランダ対スペインとなりスペイン優勝も当てた。今話題になっているドイツの占いタコパウル君顔負けの的中率です。やはり、魅力的なスペインサッカーは強さも兼ね備えていたということだ。
ほんと試合の最後の最後にイニエスタが冷静に決めた。ぼくがキープレイヤーとして挙げていたイニエスタがそのとおりの必殺弾である。オランダの足が止まった終盤でやっとスペインらしさが出た瞬間でもあった。それまでは、オランダの激しい攻守にかなり手こずっていたが、オランダは力尽きた。
勝敗を分けた差はなんだったのだろうか。ほんのわずかでしかないのは間違いないが、ぼくはオランダが気負い過ぎていたことにあるような気がする。過去74年、78年と2度決勝に進みながら頂上に行けなかったことから、今回こそはという思いが非常に強かったはずだ。それが、イエローカードやそれに近いファウルの多さに出ている。
それに対して、スペインは激しく倒されてもそれほどかっとなることもなく比較的落ち着いて対処していた。そして、持ち前のパスサッカーを繰り返し展開して、自分たちのやりたいことを貫いたことは称賛される。
このスペインの優勝でおそらく日本国内では、これぞ日本のめざすサッカーだという声が大きくなるだろう。たしかに、シャビ、イニエスタ、ナバス、ペドロなんか170cmしかない。ビジャだって175cmだ。さらにセンターバックのプジョルにしたって178cmである。おおこれは日本チームも同じようなものだと思われるだろう。
ところが、そう簡単にスペインには近づけないと思う。何が違うのか。いろいろとあるのだが、中でも今回強く感じたのはパススピードである。パスサッカーを標榜するなら、必須なものとしてこのパススピードがある。フリーな人伝いにパスを回すだけではパスサッカーとは言わない。
スペインのパスはマークされていようがスペースが狭められていようが、ぎりぎりにパスを通してくる。そのとき、速いパスでないと通らないのだ。ここがスペインの真骨頂である。サイドキックで地面を這う強いパスが味方に突き刺さりそこから決定的な場面を作り出すのを何度も見たと思います。
じゃあ、速いパスを出せるようにやればいいじゃないかと思うでしょうが、そう簡単にいかない。だいいち、そうした速いパスを正確に受ける技術がなくてはいけない。そして、その速さに反応できる動きのスピードとそれを支える判断の素早さが不可欠なのである。スペインの選手たちは速いパスをいとも簡単に自分の思ったとおりに止めていたのを見たと思います。あれは相当なスキルが要るのです。
こうしたスキルを身に付けた選手がスペインには多くいたということとそれを生かす戦術を徹底したことが今回の優勝につながった。実はこのことは基本的な技術に他ならないのであって、けっして派手なトリッキーなプレーとか圧倒的なスピード、あるいは強いフィジカルで翻弄したわけでもない。
その最たるものがイニエスタであって、彼のプレーで感心させられたのは、必ずパスを出したら走っていたことで、このパス&ゴーは基本中の基本で子どものときにちゃんと身につけることなのである。
だから、これから日本でもスペインを見習ってという論調には、ボールを止めるのに汲々としている日本選手を見ていると、まずは子どもたちにきちんと基本をたたき込んでからと言いたいのである。
