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マニフェストのワナ

しばらくは民主党の代表選の話題でかまびすしい。しかし、これに関する一連の経過をみていると何とレベルの低い人たちだとがっかりする。それは、単に民主党の人たちだけではなく、マスメディアや大衆などの周辺の人も含めてである。この国の人たちは本当に国を憂えているのだろうか。どうも多くの言動が本質的なところから外れているように思うからである。それぞれをあげたらきりがないのだが、マニフェストを例にして考えてみてみましょう。

今回の争点の一つがマニフェストに対する考えかたのようで、昨年に政権交代したときに掲げたものに原点回帰せよというのと、実際にやってみると実現は難しいので修正せざるを得ないという対立である。この問題の根本は、マニフェストなるものを「国民との約束」さらには「国民との契約」(これは言い過ぎでしょう)なのかということである。

ここには問題があって、われわれ有権者にそういう意識があったのかどうかとマニフェストの全部が同意できているのかどうかである。前者では、有権者側はこれは約束だから守ってくれと言って投票したのかどうか。おそらく多くの人々は、まず契約とは思っていないだろうし、約束とも考えてはいないのではないだろうか。

つぎは後者の件に関係してくるが、マニフェストでは、子ども手当、公立高校無償化、年金制度の改革、医療・介護の再生、農業の戸別所得補償、暫定税率の廃止、高速道路の無料化、雇用対策といろいろ書かれているが、この全部が賛成であるという人はいるのだろうか。

おそらく、部分的には賛成のものもあるが、中には反対であるというのもあると思う。ぼくなんかだと、子ども手当、農業の戸別所得補償、高速道路の無料化なんて反対である。これが実態なのに何でもかんでもマニフェストを実行するんだというのはどうかと思う。個別の政策でアンケート調査してみたらおもしろい結果になるのではないだろうか。現に今朝の新聞では子ども手当に67%が反対だという世論調査が出ていた。

だから、マニフェストというのは気をつけなくてはいけない。ぼくは政党のマニフェストはもっと抽象度の高い、理念だとか方針ぐらいでよくて、それらを実現するには例えばこんな政策案をもっていますが、これから議論して詰めていきますくらいの感じでいいのではないでしょうか。

それと、党の代表を決めるのに政策で争うのも考えてみるとおかしな話ではないだろうか。政党間の争いはまさに政策論争だが、その党としての理念、方針、政策を国民に問うて政権党になったわけだから、そこは変えてほしくない。そういう意味ではマニフェストを変えたらいかんという小沢一郎は正論を吐いている。ただし、個別政策的には信託を得ていないというのは前述したとおりである。

だから、代表選挙は党をどんな風にしたいのかとか、政権運営のやり方をこうしたいとか、それこそこの問題はこいつにやらせたいとか、そんなことで争うのが理屈であろう。ただ、理念、方針が何だかよくわからないから変なことになっているのと、現状の問題に対する認識の違いをきちんと分かるように言って欲しい。ここが違うことが多いのと、間違っている場合がある。

菅さんの「1に雇用、2に雇用、3に雇用」と叫んでも、雇用が経済成長をもたらすのではなく、経済成長が雇用を生み出すという事実認識が間違っているのが典型である。

こうしたことの責任の一端はマスコミにあって、ワイドショー的な伝え方しかできていない。だから、小沢一郎バッシングになって、不起訴であるのにいかにも犯罪者であるかのように報道し、説明責任があるという。この説明責任はいくら悪いことはしていないと言っても、それは説明したことにはならないというのが延々と続く。私がやりました、悪うございましたといえば許してくれるのだ。

ぼくは、小沢びいきでも何でもないし、政策に賛同しているわけでもないが、この際は小沢一郎にやらせてみたらいい。もうずっと表でも裏でも小沢一郎の影がつきまとっていたのもうんざりだし、そんなに隠然たる力があるなら表に出せばいいと思う。うまく行くか、こけてしまうかどうかわからないが、何かが起こるかもしれない可能性があるからである。菅さんでは何もおこらない。いまの閉塞感を破るにはわれわれの手持ちはこの手しかないように思うのだが。
  

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2010年09月06日 10:46に投稿されたエントリーのページです。

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